光のもとでⅡ
 人を追いかけて見ることばかりしてきたからか、真っ直ぐに俺を見ていてくれる眼差しに心が動いた。
 御園生はにこりと笑う。
「見ていてもらえるの、嬉しいよね。それから、口にしたわけでもないのに、思っていることを理解してくれるのも」
「うん……。インハイ前も、見ていてくれたことが励みにもなってて、それがきっかけだったと思う」
「良かったね」
 その言葉に、「おかえり」と言われたような安堵感を覚えた。
 好きな子とは違う。友達ともちょっと違う。
 簾条や立花は仲がいい女子という括りだけど、御園生はそこからは少し外れたところにいて……。
 俺にとって、御園生はどんな存在なんだろう。
 大切であることはわかるんだけど、まだ明確な言葉は見つからないみたいだ。
 こういうのも、話せばきっとわかってくれる。でも、今はあえて口にする必要はないかな。
 そんなふうに思った。
< 634 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop