光のもとでⅡ
「何かあってもなくてもいつでも連絡してきてかまわない。紅葉祭の帰り、そう言ったはずだけど」
 言われてびっくりした。
 紅葉祭の帰り……?
「――あ……」
「……思い出していただけたようで何より」
 機嫌が悪いままににこりと笑みを向けられる。
「その俺に言っていいのかわからないって何?」
 どうしてだろう……。ものすごく自分の分が悪い気がしてきた。
「勝手に思いつめて泣かれそうになるのとか勘弁してほしいんだけど」
「ごめんなさいっ……」
「第一、翠にとって俺って何?」
「……好きな人」
「そうじゃなくて――」
 そうじゃなくて……? ほかに何が――。
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