光のもとでⅡ
 ――「俺の知らない翠を秋兄が知っているのは許せそうにない。でも――これ以上の翠を秋兄も知らないのなら、もう少し待てる気がする」。
 あの言葉こそがカミングアウトだったのだろうか。
「……ツカサ」
『何?』
「……不安になること、ある?」
『何に対して?』
「……私に対して」
『……ものすごく色々あるんだけど。何、それ、今言ったら全部どうにかしてくれるの?』
「えっ?」
『前からくどいくらいに言っているのに、相変わらずうっかり立ち上がるのとか、気づいたら発熱してるのとか、風邪が治ったかと思ったそばから違う風邪引いてたり、気をつけろって言ってるのに熱中症になってたり。翠の頭は自分の健康における学習能力が低すぎやしないか?』
 言われていることに心当たりがありすぎて、これまた何も言えなくなってしまう。でも、これは「不安」ではなく、「不満」ではないだろうか。
 そんなことを考えていると、
『……っていうのは本当だけど冗談。翠が知りたいのはそんなことじゃないんだろ?』
 全部わかっていて今のくだりがあったのかと思えば、自分が一段と情けなく思える。
『秋兄のこと?』
「…………」
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