光のもとでⅡ
「鈍感なくせに、変なところで鋭い……」
 俺がずっと抱えている「不安」を翠なりに感じとったのだろうか。そのうえで、今日何があったというのか……。
 御園生さんと唯さんが一緒だったのだから、秋兄に変なことができるとは思わない。でも、ふたりきりになる機会があったとしたら――? そんなチャンスを秋兄が逃すとは思えないし……。
「……聞き出すだけ、今聞き出したほうが良かったのか?」
 これでは、残り九日間、俺が気になって仕方がない。でも、この手の話は顔を見て話したかった。たとえ、格好悪い自分を見られることになるとしても――。
 翠は気づいているのだろうか。俺が抱える「不安」が、言葉を変えると「嫉妬」になることを。
 たぶんだけど、気づいていない気がする。
< 668 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop