光のもとでⅡ
 ……ちょっと待て。何がどうしてこの質問だったのかも疑問だが、それ以前に付き合っているのかって……。
 翠は、俺が好きでもない人間を抱きしめ口付けると思っているのだろうか。あの日、気持ちが通じた気がしたのは気のせいだったのか?
 翠の小さな頭を見ながら歩いていると、
「今日、このあとは部活?」
「……そうだけど」
「じゃ、早く行かなくちゃだね」
 さっきまでの会話はなんだったのか、と口を挟む間もなく話を切り上げられた。
 翠が何も考えずにあんなことを口にするとは思わない。でも、何がどうして、という疑問を自力では解けそうになかった。
 この奇妙な生き物をもう少し観察していたくて、
「……翠の予定がないならこのあと少し付き合って」
「え?」
「さっきの予算案、パソコンに入力してプリントアウトするから」
「……うん、わかった」
 生徒会の仕事を理由に、時間をもらうことにした。
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