光のもとでⅡ
「何かあった?」
 さっきは黙り込んでしまったのに、今度は言葉がすんなりと出てきて、つい最近の出来事を話すことができた。すると、
「司さんも司さんだけれど、秋斗さんも秋斗さんね」
 その言葉をわかりかねていると、
「翠葉さんはどうしてそんなに悩んでいるの?」
 どうして――。
 その疑問に対する答えはすぐには出てこなかった。
「翠葉さんもわかっているとは思うけど、秋斗さんはきっと、翠葉さんが司さんとお付き合いしていても翠葉さんを諦めるなんてことはしないわ。それはきっと、『迷惑』と言われても変わらないんじゃないかしら」
「でも、秋斗さんは『迷惑』って言われたら諦めるって――」
「きっと、口だけだと思うの。そう言うことで、翠葉さんがその言葉に囚われてしまうことも計算済みだったんじゃないかしら」
「……なら、私はどうしたらいいんでしょう」
 まるで出口の見えない迷路のようだ。
 雅さんは居住まいを正すように私に向き直り、
「翠葉さん、もう一度訊くわね。どうしてそんなに悩んでいるの? 翠葉さんは司さんのことが好きなのでしょう? なら、司さんのことだけを考えればいいのではなくて?」
 ツカサのことだけ……? 秋斗さんのことは考えなくてもいいの……?
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