光のもとでⅡ
秋斗さんとの連絡を早々に切っていた雅さんが、
「司さん、嫌がらなかった?」
「嫌とは言われませんでした。でも、無言の状態がそれを指していたような気はします」
「それにしては、翠葉さんはすっきりとした顔をしているのね?」
「はい。雅さんのおかげです。私が受け入れられないのは秋斗さんの恋愛感情だけで、そのほかは今までと何も変わらないとわかったので……」
そこがはっきりした途端に心の揺れがおさまったのだ。
エントランスへ見送りに行くと、秋斗さんと蔵元さんのふたりが雅さんを待っていた。
「そこで蔵元と会ったんだ。今帰りだって言うから、雅を送ってもらうことにした」
蔵元さんは「私でよろしければ」とにこりと笑う。雅さんは慌てた様子で、
「でもっ、社長に送っていただくなんて――」
「それ、やめましょう? 社長なんてただの役職であり役割にすぎません。うちの社においては誰が欠けても困るくらいの働きを皆しているのですから。それに藤倉市街は私の帰り道です」
蔵元さんのその言葉を聞いて、雅さんは少し顔を赤らめた。
「では、お言葉に甘えます」
「そうしてください。海外支部についてもいくつかお話したいことがありますから」
蔵元さんはそう言って車を取りにエントランスを出て行った。
「司さん、嫌がらなかった?」
「嫌とは言われませんでした。でも、無言の状態がそれを指していたような気はします」
「それにしては、翠葉さんはすっきりとした顔をしているのね?」
「はい。雅さんのおかげです。私が受け入れられないのは秋斗さんの恋愛感情だけで、そのほかは今までと何も変わらないとわかったので……」
そこがはっきりした途端に心の揺れがおさまったのだ。
エントランスへ見送りに行くと、秋斗さんと蔵元さんのふたりが雅さんを待っていた。
「そこで蔵元と会ったんだ。今帰りだって言うから、雅を送ってもらうことにした」
蔵元さんは「私でよろしければ」とにこりと笑う。雅さんは慌てた様子で、
「でもっ、社長に送っていただくなんて――」
「それ、やめましょう? 社長なんてただの役職であり役割にすぎません。うちの社においては誰が欠けても困るくらいの働きを皆しているのですから。それに藤倉市街は私の帰り道です」
蔵元さんのその言葉を聞いて、雅さんは少し顔を赤らめた。
「では、お言葉に甘えます」
「そうしてください。海外支部についてもいくつかお話したいことがありますから」
蔵元さんはそう言って車を取りにエントランスを出て行った。