光のもとでⅡ
 今までしていたことが、ツカサにとっては困ることだったのだろうか。
 寝耳に水で、ツカサの顔を覗き込む。と、
「家で会うの、理性保つのに意外と必死なんだけど……」
「そう、なのね……。気づかなかった、ごめん」
 掴んだ手を離そうとすると、今度はツカサに握られた。
「いい……待つって言ったのは俺だから」
 ツカサは立ち上がり、
「五時を回った。砂浜を歩いて駐車場へ戻ろう」
「うん」

 公園から海へ向かうルートを通り砂浜へ出る。と、さっきよりは幾分か砂の温度が下がっていた。
 ふたりサンダルを脱ぎ素足で歩く。砂浜に足をうずめながら、隣り合いつつ手をつなぎつつ。
「……先日した約束、なんで反故にされたのか知りたいんだけど」
 手に力をこめられたのは気のせいではないだろう。
 きっと不安なのだ。ツカサにとって、ものすごく不安なことを訊かれている。
 私は同じくらいの力でツカサの手を握り、少し大きめに一歩を踏み出した。
「今までぐらぐらしててごめんね。断言していたのに、ぐらぐらしていてごめんなさい」
 ツカサは意味がわからない、というような顔をしていた。
 確かに、今の言葉では何も伝わらないだろう。それでも、一番最初にきちんと謝りたかったのだ。
「鎌田くんに告白されたとき、何度告白されても断るって言ったのにね。それは相手が秋斗さんであっても変わらないはずだったのに、どうしてか同じようには考えられなくなっていて、断ること自体が秋斗さんを拒絶することと勘違いしていたの」
「……今は?」
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