光のもとでⅡ
「五つかぁ……俺たちは全部で十個以上あるからね。俺らが一年のときにやった紫苑祭は、人が入れ替わり立ち代わりで本当に大変だったよ。実行委員の会計も一緒になって集計してたけど、人が多すぎて逆にトラブルの原因になったり。だからだろ? 今回得点管理を生徒会の会計だけでやるようにしたのって」
 優太先輩が話を振ると、ツカサは肯定を示すように頷いた。 
 確かに、全員が競技に参加していたら、その都度引継ぎをする必要があり、ケアレスミスの発生率が上がってしまうだろう。それを防ぐ物理的な方法は、単純に引き継ぎ回数を減らすこと。あまり多くの人間を介さないことだ。
 その点においてはほとんどの競技に出ない私は役に立てそうだけれど、うっかりミスができなくなるというプレッシャーはなくもない。
「何、急に表情硬めてんの?」
 斜め前に座っていた飛翔くんに声をかけられ、苦笑いのみを返すと、
「あんたが集計の要だとしても、あんたひとりに責任があるわけじゃない。そこのところ勘違いしているんだとしたら、どれだけひとりよがりなわけ?」
 どうしてだろう……。フォローの言葉に思えなくもないけれど、飛翔くんが口にすると痛みを伴う。
 でも、もしかしたら飛翔くんも香月さんと同じで悪気はないのかもしれないし……。
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