光のもとでⅡ
桜林館の外周廊下を歩いていると、
「翠」
顔を上げると目の前にツカサがいた。
瞬時に察する。黒組が桜林館で練習していたのだと。
ツカサの顔を見たら泣いてしまいそうだった。
今ここで泣くのだけは嫌で、無言で通り過ぎようとしたけれど、それを逃してくれるツカサではない。
「なんでそんな顔――」
「今は何も訊かれたくないっ。何も話したくないっ。それからっ、今日は勉強見てもらわなくて大丈夫だから来ないでっ」
そう言ってツカサの手を振り切った。
更衣室に人がいたらどうしようかと思ったけれど、中途半端な時間帯に人がいることはなく、ガランとした一室にほっとする。
ほっとしたら涙が出てきて、何度も何度も手ぬぐいで涙を吸い取った。
「翠」
顔を上げると目の前にツカサがいた。
瞬時に察する。黒組が桜林館で練習していたのだと。
ツカサの顔を見たら泣いてしまいそうだった。
今ここで泣くのだけは嫌で、無言で通り過ぎようとしたけれど、それを逃してくれるツカサではない。
「なんでそんな顔――」
「今は何も訊かれたくないっ。何も話したくないっ。それからっ、今日は勉強見てもらわなくて大丈夫だから来ないでっ」
そう言ってツカサの手を振り切った。
更衣室に人がいたらどうしようかと思ったけれど、中途半端な時間帯に人がいることはなく、ガランとした一室にほっとする。
ほっとしたら涙が出てきて、何度も何度も手ぬぐいで涙を吸い取った。