光のもとでⅡ
「好きな人とお付き合いしてるんだもの。そういうことがあってもおかしくないわ。普通のことよ?」
 なんらおかしいことではない、と言われて、自分が過剰に反応しすぎたのかと思えば、恥ずかしさが増す。
「……キスはする。でも、その先は……」
「身体の関係はまだ、っていうこと?」
 私はコクコクと頷いた。
「翠葉たちはまだ学生だし、これからも学生でいたいなら、避妊はしっかりしなさいね」
 私はぎこちなく頷き、
「あの……」
「ん?」
「こういう話って親子でするものなの?」
「さぁ、その家その家によるんじゃないかしら? 私はしないよりはしたほうがいいと思うけど。……あ、別に家族揃っておおっぴらに話せっていうわけでも、頻繁に話すというわけでもないのよ? ただ、今みたいに翠葉とふたりの時間なら必要なことは話しておくべきだと思う」
 ならば――と、私はかねてからの疑問を尋ねることにした。
「高校生でそういう関係って普通なのかな? ……早くない?」
「早いか遅いか、か……。どうなのかしらね。そもそも、相手がいなければそんな関係にはなりようがないし、相手がいれば自然とそういう関係になるものだし……」
 お母さんは言葉を区切ってから次を続けた。
「私も零も、高校生のころから付き合っていたし、大学に上がる前には身体の関係があったわ。だから、遅いとも早いとも言わないし、翠葉と司くんがそういう関係にあったとしてもだめとは言わない。ただ、気をつけなさい、とだけ言うわ。妊娠は自分の人生を大きく左右するものだから。ほら、私は大学在学中に蒼樹を妊娠したでしょう? そのとき、とっても大変だったから」
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