光のもとでⅡ
 なるほど、と思った。
「でも、避妊していても妊娠してしまうことがあるのでしょう? 果歩さんがそうだったって……」
「あら、楓先生のところはそうだったのね?」
「お母さんたちは違うの?」
 お母さんは苦笑した。
「私たちは自業自得。そのときたまたま避妊しないでしちゃったの。そしたら、妊娠しちゃった。だから、何をどう考えても自分たちの責任」
 話していくうちに恥ずかしさは薄れ、物が喉を通らないということもなくなった。
「あのね、ツカサにはしたいって言われてるの。でもね、まだ怖くて受け入れられないって待ってもらっているの」
「そう……。司くんは翠葉の気持ちを汲んでくれているのね」
「うん。……初めて言われたのが夏休み中だったから、それからずっと」
「そっか。優しい子ね」
「お母さん」
「ん?」
「お母さんは……お母さんは初めてのとき怖かった?」
「ん~……まぁ、未知のものに対する不安はあったけれど、翠葉ほど怖いとは思っていなかったと思うわ。それに、私は零にしたいとはっきり言われたわけではなかったし、その場の雰囲気でなんとなく行為に及んだ感じかしら……」
「……そういうものなの?」
「翠葉、それも人それぞれよ。何が正しいかなんてないの」
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