光のもとでⅡ

Side 司 01話

 この日、俺は最高潮に機嫌が悪かった。
 中等部から一年おきに紫苑祭があるわけだが、そのたびに団長に、と推薦されてきた。
 過去二回においては学年を理由に断ってきたが、今回は同じ理由で断ることができないどころか、今まで断り続けてきた理由をもってして推薦されている。つまりは、三年最後なのだから、
と――。
 それでも毛頭やるつもりはなく、話し合い半ばで席を立ち図書室へ向かった。
 だが、その図書室であっても安息の地とは言えない。
 メンバーの顔を見ればわかる。これは間違いなく、姫と王子の出し物の告知をされるのだろう。
 今までやらされた数々を思い返せば、どう考えたってくだらないことしかやらされない。
 不機嫌丸出しで窓の外を見ていると、翠たちを最後にメンバーが揃った。
 翠も何かを感じたのか、入り口前から動かない。
 そんな翠を見かねて、
「まぁまぁまぁまぁ、こんなところにいないで席に着こうよ」
 海斗が翠の背後に回り、無理やり歩を進ませた。
 不自然な笑顔を貼り付けた翠が席に着いたのを確認すると、
「今回の姫と王子のイベントなんだけど、権利取りリレーだから」
 朝陽が軽快な物言いをした。
 権利取りリレーなんて名前を聞いただけで嫌な予感しかしない。
 権利とは、生徒数名に与えられるイベント権利であり、リレーとは、勝敗を決めるためのものでしかない。きっと、組同士を戦わせて勝った組にのみ抽選権などが与えられるのだろう。
< 828 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop