光のもとでⅡ
「それ、いつ決まった話?」
「かれこれ二週間近く前だけど……本当に知らなかったの?」
 俺は何を言うこともできなかった。
「ちょっと待ってっ!? 何も知らなかったってことは、会計の仕事、まんま翠葉に振ったままっ!?」
 舌打ちしたい衝動に駆られつつ、
「今の今まで知らなかったからな」
「やだ……あの子大丈夫なのかしら。最近顔色が悪い気はしてたんだけど……」
 ……ものすごく大丈夫じゃない気がする。
 まさか翠が副団長に任命されるとは思ってもみなかったし、組内での分担にしても、チアリーディングができなければ衣装製作班、もしくはモニュメント製作班に属していると思っていた。
 副団長に任命されたとなれば、翠が製作しなくてはいけない衣装は必然と長ランになる。つまり、翠は自分の分と俺の分、二着の長ランを作らなくてはいけなくなったということ。
 応援団の練習に加えて会計の仕事をこなし、日々の予習復習も欠かさず毎日十二時まで勉強をしていたらなら、いったいいつ衣装を作っていた?
 考えるまでもない。十二時以降だ――。
 そんな生活を続けたら、去年と同じことを繰り返す羽目になる。
 考えがそこに及んだとき、簾条の携帯が鳴った。
「海斗からだわ」
 通話に応じる簾条は目を見開いた。反射的に俺を見たところ、翠に関係する何かだろう。
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