光のもとでⅡ
 悔しくも恥ずかしくもあり、それらをごまかすために、
「翠、具合は?」
「あ……たぶんそろそろ大丈夫」
 身体を起こすのを補助して「送っていく」と言おうとしたら、
「では送っていこう」
 父さんに先を越された。
 なんで父さんが、と反射的に振り返る。
 父さんは笑みを湛えた表情で、
「先ほど、御園生さんの親御さんに私が送っていくと約束をした」
 その車に自分が同乗することはできる。が、帰りはどうやっても父さんとふたりになる。
 それを考えると、「自分も一緒に行く」と言う気にはならず、俺は玄関から見送るに留めた。
< 851 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop