光のもとでⅡ
 背後でポーズをとったらしき翠が掛け声をかけると、やけに便利なカメラはパシャパシャと何度もシャッターを切っていく。
 つまり、翠が笑っているときちんと認識されているのだろう。
 しばらくして、
「撮れたかな……」
 言いながら翠がカメラに駆け寄った。
 プレビュー画面を食い入るように見た翠は、今日一番のむっとした顔を俺に向ける。
「ツカサ、ずるい……」
「俺には笑顔のオーダーきてないし」
 翠の手からカメラを取り上げ、今撮られたであろう写真を表示させていく。
 写真は全部で七枚撮られていた。そのうちの一枚に、自然と笑った表情に近い翠が写っていた。
「五枚目。これなら朝陽たちも納得するんじゃない?」
「本当……?」
「とりあえずは見せて確認」
「はい」
 生徒会メンバーに加え、写真部のOKも出て撮影は終了。
 ほっとした表情の翠を見ていたら、
「突破口があるならとっとと提示しろよ」
 飛翔は、場が白けるのもかまわず体育館をあとにした。
 俺は苦い笑いを噛み殺す。
 飛翔の行動は、まるで自分を見ているようだ。もし、俺が翠になんの感情も抱いていなければ、似たり寄ったりのことを口にしただろう。
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