光のもとでⅡ
 その直後、
「あのね、私、あともう一度だけわがままを言うから。来年の紅葉祭、中間考査までの作業はみんなでやるけれど、それ以降のリトルバンクに関する作業全般は私に任せてください」
「……はっ!? あんた、やっぱバカだろ? 紫苑祭と紅葉祭じゃ扱う金額の規模が違う。それわかって――」
「うん、わかってる。でも、去年もそうだったの。それに、私はそういう形じゃないと生徒会に携われないから。先日ツカサが話したとおり、去年生徒会規約に準規約ができて、私が学校外で会計の仕事をすることが認められているの。だから、先に言っておくね。会計の総元締めやらせてもらいます」
 翠が立ち去ったのを確認してから飛翔に近寄ると、飛翔は肩を揺らすほどに驚いて見せた。
「あの人なんなんですか」
 飛翔は不服そうに零す。
「去年言っただろ? あの紅葉祭の総元締めは翠だって」
「聞きました。聞きましたけど……」
 実際の内訳を話したわけではない。ならば、内訳を話して信じられるものなのか。
「最初の山場は会計三人で作業にあたった。そのあとは、収支報告から追加申請、リトルバンクに関するものの一切を翠が捌いていた」
「まさかっ!?」
 飛翔が驚くのも無理はない。実際、三人で捌くにしても手にあまるものだからだ。それをよくひとりで捌いた、と今になっても思う。
「翠の技量を知りたければ実際に仕事を見ればいい」
 そう言うと、俺は飛翔を残して自分の教室へと向かった。
 翠、あとは自分で飛翔を納得させろ――。
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