光のもとでⅡ
 それに、この女にこれだけの仕事が務まるとは思えない。それが正直な感想。
 先の課題テスト、全国模試で赤丸達成しているのはわかっているが、勉強と仕事を捌けるかは別ものだと思っている。
 春日先輩が御園生翠葉の競技種目を尋ねると、
「一日目は綱引きと色別パレードと応援合戦。二日目はダンスのワルツと玉入れです」
 本当に運動ができないんだな……。
 何せ、今回のダンスはこの女が参加できるように、とテンポの遅い曲が選曲されるといった配慮がなされたくらいだ。
 これが姫ではなく一般の生徒だったなら、ここまで優遇されることはなかったんじゃないか――。
 そう思えば納得いかないことが上乗せされる。
「五つかぁ……俺たちは全部で十個以上あるからね。俺らが一年のときにやった紫苑祭は、人が入れ替わり立ち代わりで本当に大変だったよ。実行委員の会計も一緒になって集計してたけど、人が多すぎて逆にトラブルの原因になったり。だからだろ? 今回得点管理を生徒会の会計だけでやるようにしたのって」
 静かに頷く司先輩に対し、御園生翠葉の表情は一気に硬いものへと変わる。
 たぶん、自分の肩に乗った責任の重さでも感じているのだろう。
「何、急に表情硬めてんの? あんたが集計の要だとしても、あんたひとりに責任があるわけじゃない。そこのところ勘違いしているんだとしたら、どれだけひとりよがりなわけ?」
 司先輩と春日先輩がこの女を買っているのは理解したが、俺はまだ認めていない。
 知りもしないものを信じられるわけがないし、頼りにできるわけもない。
 すると、司先輩が御園生翠葉のフォローに入った。
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