光のもとでⅡ
「何、この痒いところまで手が届きますって状況……」
 どうやら、「無能女」というのは改めなくてはいけないらしい。
 たぶん、俺や春日先輩、司先輩がやっても、ここまでのことはやらなかったと思う。俺にいたっては気づきもしなかった。
 用意された仕事以上のことをしていたのを見てしまったら、認めざるを得ない。
 それになんとなく、あの女の中では「最低限」のことと認識されていそうだから救えない……。
 これだけのことをやろうと思えば時間などすぐに足りなくなる。成績を維持して、さらには長ランふたつの製作を抱えるなんてバカだ……。間違いなくバカのすることだ。
 バカだバカだバカだバカだ……すっげーバカだ。
 一度引き受けたことをひとつでも人任せにするようなことがあれば、「責任感がない」とでも言ってやろうと思っていた。が、これを見てしまっては言うに言えない。言う余地がない。
 ただ、よぉくわかった。この女は頭がいいかもしれない。気が回るのかもしれない。それでも、超ど級のバカだ。
 俺は疲労を感じる手でパソコンを終了させ、悪態をつきたい気持ちを抑えながらクラスへ戻った。
< 890 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop