光のもとでⅡ
 どうしてそんなことをする必要があるのか――という意味だろうか。それなら、
「飛翔くんが入力ミスがあるかもしれないって言っていたでしょう? だから、予防的措置が必要かなと思って暗算で答えを出しておいたの。――よしっ、玉運びの集計完了。飛翔くん、これも打ち込んでもらえる?」
 飛翔くんへ用紙を差し出すと、飛翔くんには珍しく驚いた顔をしていた。
「どうかした?」
「……あんた、今まで玉運びの集計してたんじゃ……」
「うん、していたけど……?」
「それでどうして二十一組分の総合タイムなんて――」
「え……? あぁ、いつ計算したかということ?」
 飛翔くんは目で「そうだ」と肯定する。
「私、競技は見ずに放送委員が話すゴール着順しか聞いていなかったから、競技時間は丸々暗算に当てていたの」
 飛翔くんはツカサを振り返り、エクセルの集計欄と私の手書きの数字を交互に見ていく。
 その動作に不安を煽られ、
「ツカサ、私、計算ミスしてた?」
「いや、今のところ全部一致。あと、優太が受け持ってるクラスを確認するのみ」
「良かった。……あ、ツカサも飛翔くんもスウェーデンリレーの召集かかってるよ?」
 ふたりは連れ立って校庭へ向かって走っていった。
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