光のもとでⅡ
『さぁて、騎馬戦の準備が整ったようです! 向かって左側のコートでは青組対黒組! 右側のコートでは黄組と白組! それぞれ位置に着いて――用意』
 放送委員の掛け声のあと、パンッ――ピストルの音が鳴り響いた。
 突如、甲高い女子の歓声と地響きのような男子の雄叫びが轟く。あの中にいたらどんなふうに声が聞こえるのか。
 そんなことを考えつつ、私はツカサを探していた。
 たくさんの騎馬が行き交い砂煙が立つため、ツカサの姿はなかなか見つけられない。
「あ……」
 見つけた瞬間、ツカサが青組の団長のハチマキを取り上げた。
 動くツカサは何度となく見てきたけれど、やっぱり動いている姿はいつ見ても新鮮に思える。
「格好いい……」
 ポツリ、と零した言葉をまさか人に拾われるとは思っていなかった。
「誰が格好いいって?」
 顔を覗き込んだのは飛鳥ちゃん。
「あっ……わ、えと……」
「ふふ、藤宮先輩でしょ?」
「……うん」
「だ~よねぇ。自分の組も応援しなくちゃ、って思うけど、やっぱ好きな人を目で追っちゃうよね。でも、女子の皆さんは若干正直すぎ!」
 飛鳥ちゃんは左側のコートを指差してケタケタと笑っていた。
< 917 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop