光のもとでⅡ
 生徒だけではなく学校全体が、学校にいる人みんながお祭りに乗じるこの空気が好き。
 何をするにも一生懸命で、一生懸命になることを笑う人はひとりもいなくて、互いが苦手だと思うことをフォローしあえる仲間が集う場所。
 それは、藤宮に入学するまで見たことのなかった風景で、理想とも思える環境。
 運動ができない自分が体育祭に参加しているだなんて、未だに信じられない。
 この学校にずっといたいし、みんなともずっと一緒にいたい。
 でも、ここにいられる期間はあと一年と半年。
 時は少しずつ着実に、卒業までの時間を刻んでいる。
 自分が高校を卒業するその日まで、遣り残したことがないように過ごせたらいいな……。

 すべてのパレードが終わると応援合戦が始まる。
 今日は色別パレードと応援合戦のみ。チアリーディングは明日、桜林館で行われる。
 準備している人たちを見て気づいたことといえば、応援団長は誰もが黒い長ランを着るわけではないということ。
 黒い長ランを着ているのは赤組と黒組、紫組しかなかった。

 黄組は、おもちゃ箱をひっくり返したようなモニュメント。黄色がテーマカラーとなっているものの、ほかの組の色も率先して取り入れており、それらは遊園地のパレードのような様相を呈していた。
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