光のもとでⅡ
 優太先輩は「これで噛み合うだろう」といった表情をしているけれど、私の中では謎が深まったように思う。
「姫と王子だから……? それはどういう意味ですか?」
 またしても優太先輩はきょとんとした顔をする。
「あれ? 翠葉ちゃんって姫だからワルツの代表になったんじゃないの?」
「はい、そうですけど……」
 今の会話を文章にすれば、言葉上では意思疎通ができているように思える。でも、話しているニュアンス――「感じ」の上ではまったく意思の疎通ができていない。明らかに噛み合っていないことがわかった。
「あの、姫と王子だからワルツってなんですか……?」
 たぶんここが問題点。そんな気持ちで尋ねると、
「姫と王子がワルツの代表になるのは紫苑祭の恒例行事みたいなものなんだ」
 それを聞いて何重にも納得した気がする。
 組で「姫だから」とワルツの代表に選出されたのは「姫と王子の恒例行事」だからだったのだ。
 突然「姫」と引っ張り出されたわけではなく、「恒例行事だから」という理由のほうが納得できるしちょっと嬉しい。
 イレギュラー度数が下がる気がして……。
 そんなことを考えていると、
「因みに、司が今回何に出るのかは聞いてる?」
 確認のように尋ねられ、「知りません」と即答して思う。なぜ知らないのか、と。
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