光のもとでⅡ
 一日目の競技はだいたい知っていたものの、明日の競技に関してはまったく把握していない。
 確かに準備期間は忙しかったけれど、途中からは毎日顔を合わせていたのに……。
「優太先輩……私とツカサって絶対的に会話量が少ないんでしょうか」
 真面目に尋ねると、
「えぇっと……さすがにふたりの間のことはわからないかな。……でも、今年は内緒にしてるのかも。うちの組自体が緘口令敷いてるし」
 緘口令……?
「そんなわけで、俺も教えられないからね~」
 そうは言うけれど、
「姫と王子がワルツに出るのが恒例なら、ひとつはワルツで決定なんじゃないんですか……?」
 優太先輩はにんまりと笑い、「秘密」と言うなり口を噤んでしまった。

 校庭に視線を戻すと、そこには借り物競争と障害物競走がひとつになったレンタル障害物競走に出ている嵐子先輩の姿があった。
 スタートした走者を一番に迎えるのは平均台。その次にハードルを三つ越えると高さ七段の跳び箱あり、その次にはかいくぐるためのネットが待ち受けている。
 ネットをくぐり終わると、一輪車に乗って五メートル進まなくてはならず、そこまでしてようやく白いボックスにたどり着く。
 その白いボックスこそ、借りるものが記された紙が入っているのだ。
< 934 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop