光のもとでⅡ
Side 翠葉 06話
徒競走決勝戦、色別対抗リレーと続けて行われたわけだけれど、前者はクラスで一番足の速い人が選出され、後者は組で足の速い人が選出されているため、あまり代わり映えのしないメンバーで競われる。
それでも、一〇〇メートル一本勝負と複数人がバトンをつなぐリレー競技では盛り上がり方が根本的に違う。
徒競走は個人を応援する人が多いのに対し、チームを作るリレーはでは組が一丸となって同じ組の人間を応援するのだ。
中には陸上部員のみで編成した組などもあり、隣の放送ブースでは闘争心を煽るような実況中継がなされている。
抜かれたり抜き返されたりが何度も行われ、最終走者がゴールテープを切るまで息を詰めるような接戦が繰り広げられた。
ゴールテープが本部前に設置されていたこともあり、最後は本部にいた人間も席を立っていた始末。
放送委員が着順を放送する中、私は仕事を忘れてゴールテープを切ったツカサのことを目で追っていた。
ツカサは数歩で勢いを殺し、トラックの中に入るとこちらへ向かって引き返してくる。
軽く肩で息をし、俯きがちに歩く姿すら格好いい。
いつか見慣れて容姿を意識せずにいられる日がやってくるのだろうか。
そんなことを考えていると、視線に気づいたツカサに「何?」といった視線を返される。
瞬時にブルブルと顔を横に振ったけれど、顔に熱を持った状態でいったい何をごまかせただろう。
私は慌てて仕事に戻り、手元のプリントに着順を記していく。と、
「翠葉ちゃん、四位は白組じゃなくて青組ね」
「わっ、すみませんっ」
「今、司に見惚れてたでしょ?」
「えっ!? あのっ――」
「いいよ、いいよ~! 集計は俺がやっておくから」
優太先輩はニヤニヤしたまま順位の入力を始めた。
今のは完全に私の不注意だけど、今日の優太先輩はなんだかちょっと意地悪だ……。
それでも、一〇〇メートル一本勝負と複数人がバトンをつなぐリレー競技では盛り上がり方が根本的に違う。
徒競走は個人を応援する人が多いのに対し、チームを作るリレーはでは組が一丸となって同じ組の人間を応援するのだ。
中には陸上部員のみで編成した組などもあり、隣の放送ブースでは闘争心を煽るような実況中継がなされている。
抜かれたり抜き返されたりが何度も行われ、最終走者がゴールテープを切るまで息を詰めるような接戦が繰り広げられた。
ゴールテープが本部前に設置されていたこともあり、最後は本部にいた人間も席を立っていた始末。
放送委員が着順を放送する中、私は仕事を忘れてゴールテープを切ったツカサのことを目で追っていた。
ツカサは数歩で勢いを殺し、トラックの中に入るとこちらへ向かって引き返してくる。
軽く肩で息をし、俯きがちに歩く姿すら格好いい。
いつか見慣れて容姿を意識せずにいられる日がやってくるのだろうか。
そんなことを考えていると、視線に気づいたツカサに「何?」といった視線を返される。
瞬時にブルブルと顔を横に振ったけれど、顔に熱を持った状態でいったい何をごまかせただろう。
私は慌てて仕事に戻り、手元のプリントに着順を記していく。と、
「翠葉ちゃん、四位は白組じゃなくて青組ね」
「わっ、すみませんっ」
「今、司に見惚れてたでしょ?」
「えっ!? あのっ――」
「いいよ、いいよ~! 集計は俺がやっておくから」
優太先輩はニヤニヤしたまま順位の入力を始めた。
今のは完全に私の不注意だけど、今日の優太先輩はなんだかちょっと意地悪だ……。