光のもとでⅡ
Side 翠葉 09話
「おかしいな、とは思っていたんです。体育委員と実行委員に打診しなくちゃいけないのにあんなにも早く変更されるなんて」
「あはは、こういうカラクリでした。……で、その日の放課後だったよね。組の全体集会で競技に出る人間を選出したのって」
私たちはようやく相槌を打つことができた。
「三年は御園生さんを支持してたし二年も間違いなく賛成する。つまり、多数決をとれば必ず可決される状態っていうか、多数決をとる前から確定していたも同然だったんだ」
悪びれることなく話す風間先輩に、私はうな垂れたい衝動に駆られていた。
なんというか、いとも簡単に嵌められた自分が少々恨めしい。
あの日は一日目の競技から順番に選手を決めていき、ワルツの代表を決めるときには場が十分に盛り上がっていた。
その盛り上がりの中、
「じゃぁ、次っ! ワルツの代表決めるよー! 知ってのとおり、うちの組には姫がいる。そんなわけで、一組目の女子は御園生さんにお願いしたいってのが三年の総意。すでに御園生さんの承諾は得てるから、あとは一年と二年が了承すれば確定。どうかな?」
いくら三年生全員が賛成しているとはいえ、「姫だから」というだけでこれだけ多くの人が賛成するわけがないと思っていた。でも、私の想像に反してひとつの反対意見が挙がることなくあっさりと承認されてしまったのだ。
このときの私は「姫だから」の意味をきちんと理解していなかったから、こんなにも簡単に承認されていいのかと不安を覚えたけれど、この学校の「姫と王子の恒例行事」ならすんなり承認されたのも頷ける。
ただ、この時点で私が運動できないという事実をどのくらいの人が知っていただろう。
もっと言うなら、私にダンスの評価がないことはおろか、この先ダンスの授業に参加することもないということを知らずに賛成したのではないか。
それを考えると、一年生はちょっとした詐欺に遭ったのと変わらないし、後日谷崎さんのように不満を持つ人が現れても不思議なことではなくなる。
「あはは、こういうカラクリでした。……で、その日の放課後だったよね。組の全体集会で競技に出る人間を選出したのって」
私たちはようやく相槌を打つことができた。
「三年は御園生さんを支持してたし二年も間違いなく賛成する。つまり、多数決をとれば必ず可決される状態っていうか、多数決をとる前から確定していたも同然だったんだ」
悪びれることなく話す風間先輩に、私はうな垂れたい衝動に駆られていた。
なんというか、いとも簡単に嵌められた自分が少々恨めしい。
あの日は一日目の競技から順番に選手を決めていき、ワルツの代表を決めるときには場が十分に盛り上がっていた。
その盛り上がりの中、
「じゃぁ、次っ! ワルツの代表決めるよー! 知ってのとおり、うちの組には姫がいる。そんなわけで、一組目の女子は御園生さんにお願いしたいってのが三年の総意。すでに御園生さんの承諾は得てるから、あとは一年と二年が了承すれば確定。どうかな?」
いくら三年生全員が賛成しているとはいえ、「姫だから」というだけでこれだけ多くの人が賛成するわけがないと思っていた。でも、私の想像に反してひとつの反対意見が挙がることなくあっさりと承認されてしまったのだ。
このときの私は「姫だから」の意味をきちんと理解していなかったから、こんなにも簡単に承認されていいのかと不安を覚えたけれど、この学校の「姫と王子の恒例行事」ならすんなり承認されたのも頷ける。
ただ、この時点で私が運動できないという事実をどのくらいの人が知っていただろう。
もっと言うなら、私にダンスの評価がないことはおろか、この先ダンスの授業に参加することもないということを知らずに賛成したのではないか。
それを考えると、一年生はちょっとした詐欺に遭ったのと変わらないし、後日谷崎さんのように不満を持つ人が現れても不思議なことではなくなる。