光のもとでⅡ
 そんなことを考えていると、
「反対意見やそれに順ずる要素はこの場で摘み取るつもりだったんだけど、結果的にはうまくいかなかった。ごめんね」
「そんなっ――……風間先輩は悪くないです」
「んー、でもねぇ……」
 言葉を濁す風間先輩の隣から、
「っていうか、従来どおり一学年一組の選出にしていればこんなことにはならなかったんじゃないですか? 少なくても、谷崎さんがうだうだ言う事態にはならなかったような気がする」
 海斗くんの言葉に桃華さんと風間先輩が緩く頭(かぶり)を振る。
「どっちにしろ、翠葉はダンスの評価を持たないわ。谷崎さんが成績を気にするのなら、たとえ自分が一年の代表に選ばれていたとしても、二年の代表に翠葉が相応しくないだのなんだのって文句を言ってきたんじゃないかしら」
「俺も簾条さんと同じ意見。それに、谷崎サンが御園生さんに絡む要因はほかにもあるんだ」
 ここにきて風間先輩が申し訳なさそうな表情になった。
 でも、私が谷崎さんに絡まれる要因って、何……?
 谷崎さんと接したのは今日が初めてだと思っていたけれど、実は以前どこかで顔を合わせていたのだろうか。
 今のところ一年生に呼び出される事態には陥ってないし……。
 四月からの記憶を掘り起こしていると、
「海斗がスルーしてるのは意外だったけど、簾条さんあたりは気づいてるんじゃない?」
 話を振られた桃華さんは思い当たる節があるのか、小さくため息をついた。
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