片恋シリーズ~鎌田公一編~
「もはや、これ悩みって言わないし……」
 ひとり突っ込みして悲しくなる。
 そうこうしている間に駅に着いていた。
 電車に乗って塾のある藤倉駅まで移動する。
 藤倉駅に降り立ち、またなんとも言えない気分になった。
 駅構内に藤宮の制服を着た人がちらほらといたせいだ。
 もし、彼女が藤宮に通っているとしたら、この駅を利用していることになる。時間も時間だし、もしかしたら会えるかもしれない、なんて思ったのは一瞬のこと。
「無理無理。だいたいにして、本当かもわからないのに……」
 緩く頭を振り、改札口を出た。
 いつもなら部活一時間やってから早退させてもらうため、軽食を摂ったらすぐに塾へ向かうが、今日は部活に顔を出していないこともあり、時間的余裕があった。先に腹ごしらえを済ませ、俺は普段行かないデパートに足を向けた。
 理由は、駅構内に貼られていたポスターが目を引いたから。
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