片恋シリーズ~鎌田公一編~
 クエスチョンマークが駆け巡る俺の頭の中など知らない彼女は、申し訳なさそうな顔をして言葉を続けた。
「あのね、今日は人と一緒に来ていて、その人を待っているところなの。だから……今日は無理で……。ごめんね?」
 俺の言い方も悪かったんだと思う。でも、これはちょっと回答が斜め上に行きすぎ。
 たぶん、間違いなく俺の気持ちは伝わっていない。それだけはよくわかる。
 そういう意味じゃなくて、と説明をしようとしたとき、知らない声が割り込んだ。
「翠葉ちゃんごめんね? ……あれ? 友達?」
 男――声も表情も穏やかだが、明らかに眼差しが険しい。見るからに色男。同性の俺から見てもイケメンすぎる。そして、どう見ても学生ではないことがうかがえる。
「秋斗さんっ。あのっ……鎌田くんは大丈夫なの。普通の人。ほかの中学の同級生とは全然違う人だから」
 彼女が慌てて俺の前に立ち擁護してくれた。――けど、なんだか複雑な気分。
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