片恋シリーズ~鎌田公一編~
「普通の人」「同級生」。何も間違ってない。それ以上でもそれ以下でもない。
 きっと彼女の中では「友達」ですらないんだろうな、と察しがついてしまった。
 イケメンヤローは彼女の言葉を鵜呑みにしたようで、「あ、そうなの?」と纏う雰囲気を改めた。
「今、一日付き合ってほしいって言われたんですけど……。さすがに静さんとの約束をずらすわけにはいかないから……」
 彼女は口にしつつ、俺に「ごめんなさい」の視線を向けた。そして、彼女の言葉を継ぐように、
「鎌田くんだっけ? 悪いね。このあと、彼女はちょっと外せない用があるんだ」
 イケメンヤローはにっこりと笑った。にっこり笑ってるんだけど、俺には牽制としか取れなくて……。
 イケメンで大人で、俺がどうにも太刀打ちできないような相手。
 彼女とこのイケメンがどんな関係かは知らないけれど、思い切り敗北感を味わった。もっと言うなら、人ととしてのレベルを思い知らされたというか……。
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