片恋シリーズ~鎌田公一編~
 だけど、指摘されるほどに沈んだ顔はしていないつもりだった。
 頬をつねってみたり引張ってみたりする。と、
「ちょっと、何やってんの?」
 言われて、「え?」と思う。
「沈んでるって、アレだってば、あーれっ」
 ハルが指差したのは的だった。
「あ……」
「まったく……色々ダメダメじゃないですか。だいたいにしてね、視線が落ちてるから矢がうまく飛ばないの」
 グサリ、と胸を刺された気分だった。
 ハルの指摘はもっともだ。ここのところ全く矢が的中しないのはそんな理由だったのか、と思い知る。
「なんかあったんでしょ? そろそろ白状しちゃいなよ」
「何かあった……といえばあったけど、何がどうした、というわけではなくて――」
「それは何かあったわけですなぁ」
「っ……!?」
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