片恋シリーズ~鎌田公一編~
「ごめんっ、反応遅れて。それ、俺の。ごめん、ありがとう」
 片言だらけの対応。でも、それが精一杯だった。
「よかった……」
 言われた直後、俺は固まった。どんなに固まっていても、視線は彼女に釘付け。失礼極まりないくらい不躾にガン見していた。
 申し訳なさ全開の表情だったそれが、ハンカチを受け取りお礼を口にしたら、花が綻んだかのような笑顔になったのだ。
 お世辞抜きに、かわいいと言われていることを納得できたし、とてもキレイな笑顔だと思った。
 大口開けて廊下でバカ笑いしているそこらの女子とは大違い。人類とか女子とかそんな言葉で同じ生物にまとめたくない。もういっそのこと女神様と形容してもいいくらいだった。
 俺は、彼女の笑顔を見た瞬間に「恋」に落ちたのかもしれない。

 これが俺と彼女の出逢い。
 彼女は覚えているだろうか――。
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