片恋シリーズ~鎌田公一編~
 自宅に行くのも家に電話かけるのも、もう、そんなことが普通にできないくらいの時間が過ぎてしまった。
 去年の春ならクラスメイトとして連絡することができただろう。でも、もう一年以上が経っているわけで……。
「たださ、偶然を装って会いたいって気持ちはわからなくもないから……。最後のチャンス。今週二回だけ部活さぼっていいよ」
 そう言われたものの、その二日間で彼女に会えることはなかった。
 そして先輩に言ったのだ。もう、彼女のことは諦める、と――。
 それは六月末のことだった。
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