片恋シリーズ~鎌田公一編~
「でも保健室の場所知らないだろ?」
「校内マップでチェックした。階段下りたら右だろ?」
「……そう。悪い、頼むわ」
 一階には展示教室も何もないため、二階に比べると格段に人の数が減った。
「御園生……今もこんなふうによく倒れるの?」
「……こんなふうに意識を失うことはそんなにない。そうならないように自分でかなり気をつけてるし……。中学では?」
「割としょっちゅう倒れてたな……」
「で……? あんたはそれを見て見ぬ振りしてきた人間?」
 掴み掛かられたときとは違う目。恐ろしく冷ややかな目で見下された。
 俺のほうが身長が低いから、とかそういうことではなく、人間として見下されたような気がした。
「御園生は中学でのことを君たちに話してるんだね」
「まぁね。友達だから?」
 ちょっときつい一言だった。
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