全部、抱きしめて


大瀬良さんの車はすぐに見つかった。

好きだと自覚したばかりだからかな?
ものすごく、緊張している。

深呼吸をして、車の助手席のドアを開けた。

大瀬良さんは、スマホを触っていたけど、あたしに気づくとすぐにズボンのポケットにしまった。

「お疲れ様」

「お疲れ様です...」

どうしよう。ドキドキしてる。
まともに目が合わせられない。

そんなあたしの様子に気づくことなく、大瀬良さんは車のエンジンをかけスタートさせ会社を後にした。

「今日の由里子おとなしいな」

「そ...そんなことないです」

「潤の助手席がいいなぁとか思ってたりして」

「何でそうなるんですか?」

< 103 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop