全部、抱きしめて
「はぁ。良かった。由里子に突き離されなくて。口ではかっこいいこと言っても内心はヒヤヒヤのビクビクだったんだぞ」

「とか言って、自信あったんじゃないんですか?」

「そんなわけない。自信も余裕もいつもない。だから潤に下らない嫉妬したりするんだよ」

「長谷部さんとは、本当に何もありませんからね〜」

ただの上司と部下。
大瀬良さんが、嫉妬する要素なんて一つもないんだから。

でも、妬かれるのは悪い気はしない。

「何で潤とご飯食べに行こうとしたんだよ?」

大瀬良さんに抱きついていた、あたしの体を離しながら聞いてくる。

「まだ根に持ってたんですか?」

「いいから話せ」

「それは、大瀬良さんのことを相談したくて」
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