全部、抱きしめて
つきまとう不安
「ただいまー」
「おかえりなさい」
夜の7時を回った頃、リビングでテレビを観ていたら、直也が仕事から帰ってきた。
直也とつき合い始めて、早いもので2ヶ月が経とうとしている。季節は冬本番の11月に入ったばかり。
最近は、直也の自宅で直也の帰りを待つことがほとんで、いわば半同棲状態だ。
だいたい、あたしは定時上がりだけど、直也は日によってバラバラだ。
つき合い出してからは、残業が増えてあたしは先に直也の自宅に帰り、晩ご飯を作って待っているというのが日課になってきた。
「外寒かったでしょ? 温かい肉じゃが出してあげるから、少し待ってて」
ソファーから立ち上がり、キッチンへ向かおうとした時、直也に後ろから抱きしめられてしまった。
「直也?」
「由里子、生理終わった?」
「普通そいうこと単刀直入に聞くかな?」
あたしは苦笑する。
「で、終わったのか?」
「終わったよ」