全部、抱きしめて
あたしはワクワクして聞いていた。

「どうしてって....。オレは由里子とだからこうなったんだと思ってる。本能で選んだのかなって」

「ビビッときたみたいなやつ?」

「まぁ。そんな感じ」

もしかして、あたしが直也を食事に誘ったのも本能とか直感とかそんなものがあったのかもしれない。

うん。そう思うことにしよう。

「そっか〜。ふふふ。直也は本能で選んでくれたんだね。そんなにあたしって魅力的だった?」

「つーか。オレたちこんな話をしてたわけじゃないよな? 確か不倫がどうのこうのの、話をしてたんだった」

「あっ。そういえばそうだったね」

「そうだったねって、軽いな」

「いや。なんか真相を知ったら気が抜けてしまったというか......」

疑惑が晴れてスッキリもした。
< 194 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop