全部、抱きしめて
あたしは既についていて、かおりさんを待っているところ。
先にコーヒーを頼んでいようか迷っていたら、かおりさんが現れた。
「ごめんね〜。待たせたかな?」
そう言いながら、かおりさんはコートを脱ぎあたしの前に座った。
相変わらず、今日も美しい。
会社の制服の着こなしも抜群だ。
「ここのカフェ、サンドイッチ美味しいんだよ! 由里子ちゃんも食べてみて!」
かおりさんは、あたしが返事をする前にサンドイッチとコーヒーを店員さんを呼び注文をした。
「まさか、また由里子ちゃんに会う事になるなんて思わなかったな〜」
「ですよね」
「で、話って何? 直也の事でしょ?」
「はい。そんなところです」
「もしかして、離婚原因の事?」