全部、抱きしめて
そう言って、直也はあたしの頭をポンポンとした。

自然と笑みがこみ上げてくる。
何だかすごく幸せ。

一番最初に新年の挨拶する相手が、好きな人って嬉しい。

ずっとずっとそうありたい。


「さっむー!」

外へ出るなり冷たい風が吹き抜けて行く。

白い息が浮かんでは消えていく。

「くそ寒いけど神社までは歩いて行くぞ。車だとすごい混むから」

直也があたしの手をぎゅっと握り、コートのポケットの中に入れてくれた。

「ふふふ」

「なんだよ? 急に笑い出して」

「直也とこうなるなんて、去年は全く想像つかなかっなぁと思って」

「それはオレも同感だな」
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