全部、抱きしめて
そんな話を聞いたのは、一週間前。
紗江から電話がかかってきて聞いた。
『タケルくん、転勤決まったんだって。最後にあんたの顔を見て、さよならを言いたがってみたいだけど』
そして、続けて紗江はこう言った。
『ほら、あんたが財布のひったくりに合いそうになった時、タケルくんが助けてくれたって言ってたじゃん。本当はその時、転勤が決まっててお別れをしたかったんじゃないのかな?』
あたしはその時、タケルと別れて一度だけばったり会った事を思い出した。
もうすっかり忘れていた出来事だったけど......。
で、どうして直也がこの事を知っているかというと、紗江が電話をくれた時あたしは一人だった。
けど、電話の途中で残業で帰ってきた直也は偶然聞いてしまったというわけだ。
「ねぇ? 何で急に元カレの話を持ち出してきたの?」
紗江から電話がかかってきて聞いた。
『タケルくん、転勤決まったんだって。最後にあんたの顔を見て、さよならを言いたがってみたいだけど』
そして、続けて紗江はこう言った。
『ほら、あんたが財布のひったくりに合いそうになった時、タケルくんが助けてくれたって言ってたじゃん。本当はその時、転勤が決まっててお別れをしたかったんじゃないのかな?』
あたしはその時、タケルと別れて一度だけばったり会った事を思い出した。
もうすっかり忘れていた出来事だったけど......。
で、どうして直也がこの事を知っているかというと、紗江が電話をくれた時あたしは一人だった。
けど、電話の途中で残業で帰ってきた直也は偶然聞いてしまったというわけだ。
「ねぇ? 何で急に元カレの話を持ち出してきたの?」