全部、抱きしめて
あの頃の事が懐かしい。
まだ一年前の話なのにね。

パーン!
ヒュルル.....

花火が一斉に上がり出す。
とてもカラフルに鮮やかに。

「ベランダから見る花火も最高だね」

「だろ?」

直也は得意気だ。

実は、近くの公園まで見に行くか、ベランダで見るかで迷ったんだよね。

土曜日で昼寝を2人共長い事してて今からじゃ場所取れないって事になってベランダに決定。


花火は打ち上げられては消えていく。
光輝くのはほんの一瞬だというのに、釘付けにした。

しばらくの間、2人共無言で花火を見ていると、ふと直也があたしの名前を呼んだ。

「由里子」

「何?」






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