全部、抱きしめて
あぁ...。嫌だそんな週末。
誰でもいいから側にいて欲しい。
何なら、今からよその部署の残業を手伝ってもいいくらいだ。仕事中は何も考えなくていい。気が紛れて楽だ。
仕事終了時間から10分くらい過ぎた頃だった。
事務所のドアが開いて人が入って来た。
「あれ? 一岡、1人だけ残業してるのか?」
そう声をかけてきたのは、営業部の大瀬良係長だった。
「大瀬良さんはどうしてここに?」
「オレは潤に用があったんだけど帰ったぽっいな」
「長谷部係長ならすっ飛んで帰りましたよ」
長谷部潤(はせべじゅん)係長は、あたしの上司。大瀬良係長とは同期で仲がいいと聞いたことがある。
「まぁ。帰ったならいいや。別に急ぎの用事ってわけじゃないから」
「そうですか…」
「悪かったな。残業中に押しかけて」
誰でもいいから側にいて欲しい。
何なら、今からよその部署の残業を手伝ってもいいくらいだ。仕事中は何も考えなくていい。気が紛れて楽だ。
仕事終了時間から10分くらい過ぎた頃だった。
事務所のドアが開いて人が入って来た。
「あれ? 一岡、1人だけ残業してるのか?」
そう声をかけてきたのは、営業部の大瀬良係長だった。
「大瀬良さんはどうしてここに?」
「オレは潤に用があったんだけど帰ったぽっいな」
「長谷部係長ならすっ飛んで帰りましたよ」
長谷部潤(はせべじゅん)係長は、あたしの上司。大瀬良係長とは同期で仲がいいと聞いたことがある。
「まぁ。帰ったならいいや。別に急ぎの用事ってわけじゃないから」
「そうですか…」
「悪かったな。残業中に押しかけて」