全部、抱きしめて
「だとしても、オレは無理矢理はしてない。そもそもこうなるきっかけを作ったのは半分はオマエにあるんだよ」

「はっ? オレ?」

長谷部さんは意味不明だろう。

そういえば昨日、大瀬良さんは元々、長谷部さんに用があって事務所へやってきたんだった。

でも、当の本人は帰っていて、偶然あたしと居合わせご飯に誘われた大瀬良さん。

もし長谷部さんが事務所に残っていたら、あたしと大瀬良さんはこんなふうにはならなかったかもしれない。

だから、きっかけを作ったのはオマエだと、大瀬良さんは言いたいのだろう。

「なぁ? 一岡って彼氏いるんじゃなかったけ?」

長谷部さんは、今もっとも触れたくない話題に触れた。









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