全部、抱きしめて
長谷部さんもついて来る。

3人が足を止めたのは、マンションの駐車場に着いてからだった。
すぐ側に大瀬良さんの車が停めてある。

外はさんさんと日差しが降り注いでいてとても暑い。3人の影が大きく出来ている。

真っ先に口を開いたのは長谷部さん。

「なぁ〜? オレも仲間入れてよ」

「嫌だね。何で久しぶりに女と出かけるのを邪魔されないといけないんだよ?」

「いいじゃん。人数多い方が楽しいって」

そう言って、長谷部さんは大瀬良さんの車の鍵を奪い取り、キーレスで車の鍵を開けてしまった。
長谷部さんは後部座席に座っている。

「由里子、休日の日に上司の顔なんて見たくないだろ?」

「そんなことないです。部長とか課長なら勘弁ですけど、長谷部さんなら全然大丈夫ですから」

「そうか。じゃあ3人で出かけるってことでヨロシク」

大瀬良さんはため息をつくと、車の運転席側のドアを開けた。
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