全部、抱きしめて
あたしも助手席に乗り込んだ。

「今日のお昼は、潤のおごりで寿司だな寿司だからな」

「はぁ? 何でそうなるんだよ?」

「嫌なら降りれば?」

大瀬良さんは、弱味につけこんだみたいに言う。
長谷部さんはヤケクソ気味に、「寿司ぐらい奢ってやるよ!」と言い返していた。

昨日はしゃぶしゃぶを食べて、今日のお昼は寿司。すごい贅沢じゃない?
しかもどちらも奢り......。

そんなことを思っているうちに、車が走り出していた。
長谷部さんがどこに行くのか聞いていたけど、大瀬良さんは「オマエには一切言わん」と言って教えなかった。

そして向った先はあたしの住む家。アパートだった。大瀬良さんと長谷部さんを車の中に待たせて、今日のお泊まり用の着替えを取りに行く。

自分の住む部屋を見て、はぁとため息をついてしまう。





< 34 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop