全部、抱きしめて
「今はオレの話はしてない。とにかく、自分の部下をプライベートとはいえ、からかったりするのやめろよ」

「はいはい。直也様の言う通りでございます」

「オマエ反省の色なしだな。分かってるのか?」

「何、マジな顔して怒ってるんだよ? 一岡を他の男に取られたみたいで妬いてるのか? 面白くなかったんだろう?」

「あぁ。そうかもしれないな」

えぇっ? 妬いてくれたの?
って、そんなわけない。

長谷部さんに反論するのが面倒くさかったに違いない。

でも、そんなわけないって言われるよりはまだいいかもしれない。

「つまり、直也にとって一岡は気になる存在ってことなんだよな?」

ちょっと長谷部さん! 何を言いだすのよ?
大瀬良さんは、否定も肯定もしないままだ。

「いやー、オレ嬉しいよ。離婚して三年だっけ? ようやく新しい恋を始める気になったんだな。一岡はいい奴だし安心だ」







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