全部、抱きしめて
車に乗ると、大瀬良さんに何を食べたいか聞かれて返答に困った。

肉が無性に食べたい。魚が無性に食べたいとかそいうものがなかったからだ。

「しゃぶしゃぶなんてどう?」

あたしは大瀬良さんの提案に頷いた。


お店は車で10分位の所にあった。
店内に入るとすぐに案内された。

店員さんに、店のシステムを知っているか聞かれ、大瀬良さんは知っていると答えていた。

あたしは初めて来た店。
家の近くにこんなしゃぶしゃぶ店があったことすら知らなかった。

「では、どうぞごゆっくり」

店員さんは、お絞りとドリンク用のコップを二つ置いておきまりの言葉を残していなくなった。

ごゆっくり、か。
果たしてあたしと大瀬良さんで、ごゆっくりするほど間が持つんだろうか?

そんな疑問が生まれてきていた。











< 6 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop