全部、抱きしめて
「あっ。先に風呂から出ようとか思うなよ」

と、付け加えられてらしまった。


そして、大瀬良さんは全身を洗い終えて、いよいよ浴槽に入ってきたんだけど...

今、大瀬良さんはあたしの後ろにいて、お腹あたりに手を回され抱きしめられているという状態。

でも、悪い気はしなかった。

「由里子」

「何? 直也」

初めて大瀬良さんを下の名前で呼んだ。
甘い雰囲気がそうさせたに違いない。

「もう一回言って」

「え?」

「直也って呼んで」

「直也」

あたしは真っ直ぐ大瀬良さんの目を見て名前を呼んだ後、触れるだけの柔らかいキスをされた。

そして、二度目のキスの時は、あたしはごく自然に目を閉じた。








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