全部、抱きしめて
「おっ。いいねー。他に誰が来るの?」

「いや...。あの出来れば2人で行きたいんです」

「2人で?」

「ダメですか?」

何となくダメそうな気がする。

「さすがに、友人の女と2人ってのはオレは気が引けるな」

「友人の女?」

「一岡は直也の女だろ?」

「ち...違いますよ」

首を横に振る。
要するにあたしは大瀬良さんの彼女か?ってことを聞かれてるんだもんね。

「はぁ? 何だよそれ? 直也に告白とかされてないのか?」

「あの、とにかく、2人で会いたいんですけどいいですか?」

あたしがそう言って、営業課の事務所を通り過ぎようとしたーーまさにその時、事務所のドアが開いた。

あたしと長谷部さんは反射的に見ると、そこには大瀬良さんが立っていた。
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